万葉の庭の紹介⑨
万葉の庭にある「6 いはつな(テイカカズラ)」を紹介します。(万葉の庭〜散策の栞より)
「石(いは)つなのまたをちかへりあをによし 奈良の都をまた見なむかも」
(巻六ー一〇四六)
*大意
(石つなの)また若返って、あの美しい(あをによし)奈良の都を、もう一度見ることができるだろうか。
*ひと言
「石つなの」は枕詞で「をちかえり」は若返るの意。「あをによし」は、いうまでもなく地名「奈良」にかかる有名な枕だが、形容詞的に<美しい>と解釈しても大きな間違いではなだろう。老境のしみじみとした歌である。なお、テイカカズラの名は、ある伝説(式子内親王とのラブロマンス?)に由来するという。謡曲・定家は、この伝説に材を採った。
*植物メモ(キョウチクトウ科)
初夏のころ、おもちゃの風車のような形をした白い花を咲かせ、付近に甘い香りを漂わせる。つるは、太さ4センチ、長さは10メートルにも及び、他の植物に巻きついて高くのぼる。墓にまとわりついて、死後も式子内親王を悩ませたという伝説も、むべなるかなの勢い、しつこさではある。