式辞・講話

令和5年度 入学式式辞

柔らかい春風と希望に満ちた穏やかな陽射しを浴び、正に春爛漫のこの良き日に、PTA会長 白寄 信吾 様、後援会会長 島村 定充 様、同窓会会長 島﨑 富夫 様の御臨席を賜り、ここに第78回 埼玉県立浦和西高等学校 入学式を挙行できますことは、この上ない喜びであります。

 

 ただ今、入学を許可いたしました359名の新入生の皆さん、本校への入学、誠におめでとうございます。教職員一同、皆さんの入学を心から歓迎いたします。

 

 これから皆さんが迎える本校での高校生活は、学習をはじめとするあらゆる教育活動を通して自らを鍛える場です。人生の中で、最も多感であり、また、最もエネルギッシュでもあり、理想とする姿を懸命に追い求める、掛け替えのない3年間となるのではないでしょうか。

 その大切な3年間が、本日から始まるにあたり、皆さんに2つのことをお願いしたいと思います。

 

 1つ目は、「決して失敗を恐れることなく、最後まであきらめないたくましさを身に付けてほしい」ということです。

 

 生涯で約1300もの発明を行ったアメリカの発明王、トーマス・エジソンの言葉に、「人生を失敗した人の多くは、あともう少しで成功できることに気付かずに諦めてしまった人たちだ。」という言葉があります。

 エジソン自身、三大発明の一つ、白熱電球の開発に、約6000回もの失敗を乗り換え、たどり着くことができました。

 

 自分の可能性を広げるためには、様々な新しいことへの挑戦が不可欠です。

 当然、新しいことへの挑戦には、失敗が付き物です。そして、失敗をした時には、精神的に落ち込み、その場から逃げ出したくなるのも人間の心理です。しかし、失敗を恐れるあまり、挑戦することを避け、目先の小さな成功や安定だけを求め続けているのであれば、決してその人の成長は望めません。

 

 今、社会は、グローバル化の進展、人工知能の劇的な進歩、超高齢社会等、これまで人類が経験したことのない急速な変化の真只中にあります。その中であっても、逞しく生き抜くためには、他人任せや受け身の姿勢ではなく、自らの意志で行動する主体性や、失敗を恐れず、新たなことに挑戦し続ける積極性、そしてたとえ失敗したとしても最後の最後まであきらめずにやり抜くたくましさが必要です。

 

 本校には、勉強や部活動、学校行事等、皆さんが果敢に挑戦できる環境が整っています。ぜひ、本校での3年間、決して失敗を恐れることなく、様々な新しいことに挑戦し、昨日の自分を超えていこうという強い意欲と意志、そして、それぞれの夢の実現に向かって、最後まであきらめないたくましさを育んでいってほしいと思います。

  

 2つ目は、「人との新たな出会いを大切にしてほしい」ということです。

 今日から始まる新生活では、新しい友人や先輩、先生方と多くの新しい出会いがあります。様々な人との出会いは、自らの価値観を広げ、人生を豊かにする最高の財産となりうるものです。

 

 学校はお互いに尊重し、協力し合う人間関係の在り方を学ぶ場です。一人ではできないことも仲間と取り組むことにより実現できることが多くあることを教えてくれます。時には、意見が合わず、衝突することがあっても、相手を理解し、思いやる心が真の友情を育んでくれます。

 

 しかし、時として、人には、自分と違う個性や考え方、自分とは合わない部分、相手が不得意としている部分を見下したり、批判したり、拒絶したりしてしまう、心の弱い部分があります。ここにいじめの心理的要因があるのではないでしょうか。

 

 今後益々グローバル化が進展していく中で、実に多様な文化や歴史的背景、価値観を持った人々との関わりが増えていくことは必然です。

 

 自分とは異なる価値観や合わない部分だけにしか目を向けず、安易に人を批判したり、拒絶したりするのではなく、それ以外のもっと素晴らしい部分にもしっかりと目を向けて、相手をリスペクトし、思いやり、そして、お互いの考えをしっかり伝え合うことができる、そんな素敵な人間関係を是非築いてください。

 

 本校は今年、創立89年目を迎える県内屈指の歴史と伝統を誇る進学校です。これまで2万8千名以上の卒業生を輩出し、卒業生は様々な分野でその能力を発揮し活躍しています。

 本校の使命は「自主自立」の精神のもと、知性と教養、人間性を磨き、将来地域や国際社会に貢献できる社会のリーダーを育成することにあります。新入生の皆さんが、本校の使命をしっかりと理解し、誇り高き西高生の一人として本校の歴史に皆さん自身の手で新たなページを刻んでいってくれることを大いに期待しています。

 私たち浦和西高校教職員一同、皆さんの高校生活を、全力でサポートいたします。

 

 保護者の皆様、本日は誠におめでとうございます。入学式に臨み、高校生として第一歩を踏み出した我が子を御覧になり、感慨も一入のことと、心からお喜びを申し上げます。

 

 高校時代は、お子様が大人になっていく上で、多くの知識を身に付け、生徒自身が主体的に考え、行動して、様々な課題に取り組み、解決へと導く能力を養っていく時です。

私たち教職員一同、深い愛情と、時には厳しさを持って、お子様の成長に全力で尽くしてまいります。

 しかし、当然のことながら、教育は学校だけでできるものではありません。学校と家庭がしっかりと手を取り合って育てていくことが必要不可欠です。どうか、本校の教育方針にご理解をいただき、ご協力・ご支援を賜りますようよろしくお願い致します。

 

 結びに、皆さんにとって、浦和西高校での3年間が、「最高の3年間」だったと、心からそう言える充実した日々となりますことを祈念し、式辞といたします。

 

                              令和五年四月七日

                              埼玉県立浦和西高等学校長 加藤 元