式辞・講話

令和5年度第1学期 始業式校長講話

 皆さん、おはようございます。

 いよいよ本日から令和5年度が始まりました。午後の入学式での新入生の入学により、1年生359名、2年生356名、3年生357名、計1072名での令和5年度がスタートすることになります。

学年も上がり、新しい環境で、新たな目標を掲げ、今年度も頑張っていこうという気持ちで胸を膨らませているのではないでしょうか。その気持ちを忘れず、充実した1年にしていきましょう。

 

さて、今日は、始業式にあたり、皆さんにとって、聞きなれない言葉だとは思いますが、「ブレイク・スルー」という言葉について話をしたいと思います。

 

 皆さんは、小学生の頃、例えば、自転車を補助輪なしで乗れるようになろうと、何度も転びそうになりながら練習していると、ある日突然乗れるようになったり、例えば、逆上がりが、最初の頃、いくら練習してもできなかったのに、来る日も来る日も、手に豆を作りながら練習していたら、ある日突然できるようになった、などの経験をしたことがあるのではないでしょうか。

 

 何かへのチャレンジを始めた時、最初の頃は、いくら努力をしても、なかなか成果が出ない。いくら勉強や練習を続けても思うような結果が出せない。ところが、悩み、苦しみながらも勉強や練習をコツコツと続けているうちに、ある時を境に突然できるようになる。このタイミングを、「ブレークスルー」というのだそうです。

 

 しかし、この「ブレークスルー」、厄介なのは、地道な努力を長い期間、それは1か月かもしれないし、3カ月、いや半年以上かかるかもしれない、いずれにせよ、相当長い期間コツコツと続けなければ、なかなか成果が表に現れてこないということです。

 

 最初の頃、練習や勉強を繰り返し行っても、なかなか上手にできない、結果が出ない。何日も何日も「やってもダメ」の繰り返しで、こんな日が続くと、本当につらい。何度もやめたいと思うようになってしまいます。残念なことに、ここであきらめてしまい、続けていた勉強や練習をやめてしまう、または、安易に志望校を変えてしまったり、当初の目標を下げてしまったりということが、結構あるのかもしれません。

 

 そんな時、少しでもいいから結果が見えてくるまで、もう少しがんばってみようとなんとか努力を続けるか。または、もうこれ以上はできないとあきらめてしまうのか。ここに大きなターニングポイント、分岐点があるのではないでしょうか。

 

 かつて、アメリカの大リーグで活躍していたイチロー選手の言葉に次のようなものがあります。

「夢をつかむということは、一気にはできない。小さなことを積み重ねることで、いつの日か信じられないような力を出せるようになる。」

 

 実際、イチロー選手は、「僕は高校生活の3年間、1日にたった10分ですが、 寝る前に必ず素振りをしました。その10分の素振りを1年365日、3年間続けました。これが誰よりもやった練習です。」と後の偉業につながる、高校生活で継続した小さな自主練習を振り返っています。

 さて、皆さんの中には、この時期、引退をかけた大事な試合や発表会でいい結果を出したい、折角入った部活動で先輩たちのように上手になりたい、あるいは、今年こそは苦手科目を克服したい、受験勉強を頑張って、難関大学に絶対に合格したいなどの思いを抱いている人が多いと思います。

 

自らが立てた目標を実現していく過程においては、最初から上手にできたり、素晴らしい結果を出せたりする人はまずいません。失敗の連続です。そして、中々思わしい結果を出せない自分に対して、腹が立ち、時には心が折れそうになる時もあるかもしれません。自分には無理だとあきらめてしまう弱い自分が出てしまう時もあるかもしれません。

しかし、そんな時こそ、決してあきらめることなく、先生方や仲間を信じて、そして、他でもない、自分自身を信じて、努力を続ける先には、必ず結果がついてくることを忘れないでほしいと思います。

 

 「夢をつかむということは、一気にはできない。

小さなことを積み重ねることで、いつの日か信じられないような力を出せるようになる。」

 

 令和5年度、皆さんにとって、この浦和西高校で、最後まで粘り強く、あきらめず、それぞれのブレークスルーを勝ち取り、さらなる高みへと自らを成長させる、そんな充実した1年になってほしい。

 

 自主自立、輝け、西校生!以上、始業式の講話とします。